ふるさと納税 控除の目安と限度額の計算方法

ふるさと納税は名前に「納税」とついていますが、法律上は「寄附金」として扱われます。
そのため、確定申告などの手続きをすることで、税金の控除（差し引き）を受けることができます。

ふるさと納税では、寄附金のうち2,000円を除いた金額が所得税や住民税から控除されます。
たとえば10,000円を寄附した場合、8,000円分が税金から差し引かれる仕組みです。

さらに、3つの自治体にそれぞれ10,000円ずつ寄附（合計30,000円）しても、 自己負担は合計2,000円のまま。
残りの28,000円が控除対象となります。

※簡単にするため、「復興特別所得税」はここでは省略しています。詳しくは「Point2 寄附上限額の計算方法」でご確認ください。

ただし、 控除される税金が全額、口座に戻ってくるわけではありません。
これは、所得税と住民税で控除の方法やタイミングが異なるためです。

「確定申告」をした場合：
　→ 控除額は所得税と住民税に分かれて控除されます。
　→ 所得税はすでに支払った税金から還付（口座に振込）、住民税は翌年分から控除されます。

「ワンストップ特例制度」を利用した場合：
　→ 住民税からの控除だけになり、所得税の還付はありません。

たとえば、10,000円をふるさと納税した場合

確定申告をした場合：
　→ 800円が所得税から還付、7,200円が住民税から控除

ワンストップ特例を使った場合：
　→ 8,000円全額が住民税から控除

※この例では、自己負担2,000円と、所得税率10%を想定しています。
※給与以外の所得がある方は、所得税分も還付ではなく納税額の減少として控除される場合があります

一般的に給与などでは、所得税はお金を受け取った時にすでに天引きされているため、所得税の控除分は後から自分の口座に還付、つまり振り込まれます。一方で、住民税は1月1日から12月31日までの所得に基づいて決まるので、実際の支払いは翌年になります。そのため、住民税の控除分については、本来支払う住民税を減額するかたちになります。

ワンポイント解説

実際に控除された金額を確認するには？

「ちゃんと控除されているのかな？」と気になる方は、 住民税決定通知書で確認することができます。

〇確認方法
住民税決定通知書は、毎年6月ごろに勤務先や自治体から配布されます。
ふるさと納税をした 翌年6月の通知書をチェックしましょう。

通知書には「市町村民税」と「都道府県民税」の欄がありますが、
その中にある 「税額控除額」という項目の合計に、ふるさと納税分の控除も含まれています。

〇おおまかな控除額の目安
税額控除額の中には、「調整控除」や「住宅ローン控除」など他の控除も含まれています。
ふるさと納税分の控除額をざっくり知りたい場合は、以下の式が目安になります：

ふるさと納税の住民税からの控除額 ≒ 税額控除額の合計 − 2,500円

※「2,500円」は、すべての人が対象となる調整控除分です。

正確な控除額を知りたい場合は、 お住まいの自治体にお問い合わせ ください。

出典：総務省ホームページ「地方税分野の主な申告手続き等における様式【税目別】」
給与所得等に係る特別徴収税額の決定・変更通知書（納税義務者用）

これまでにもご紹介したとおり、ふるさと納税では、 寄附金から自己負担2,000円を引いた分が税金から控除 されます。
ただし、 実際に納めている税金以上の控除はできません。
たとえば10万円を寄附しても、所得税や住民税の支払いが少ない場合、98,000円すべてが控除されるとは限らないのです。

そこで気になるのが、 「自分はいくらまで寄附できるの？」 という点。
自分にとっての「ちょうどいい寄附額＝控除上限額」を把握しておくことが大切です。

Point1とPoint2（控除額の計算方法）でご紹介した計算式に沿って、実事例に基づいた金額を算出してみましょう

Point2でご紹介した控除額のシミュレーション、目安一覧、及び計算式は、住宅ローン控除や医療費控除など大きな金額の控除を受けていないケースとなります。つまり、それらの控除がある方は注意が必要ということです。先ほどもお話しましたが、ふるさと納税で受けられる控除は、すでに支払っている、または支払うことになっている税金から差し引きます。以下3つの項目に該当する方は、ふるさと納税で控除できる限度額が変わってしまう可能性があるため、十分ご注意ください。

住宅ローン控除や医療費控除など、ふるさと納税以外でも税金の控除を受けている方

1年間で支払った所得税や翌年支払うことになる税金は、その年の所得によって決まります。そして、「確定申告」で控除できる限度額は、所得によって決定した税金の額です。つまり、住宅ローン控除や医療費控除を行うことで、ふるさと納税を全額控除できる金額が少なくなってしまう可能性があります。とくに住宅ローン控除は金額が大きいので、住宅ローン控除だけで控除できる限度額に達することもありえるのでご注意ください。なお、Point2の控除額シミュレータ下にある「住宅ローン減税制度を利用している場合について」部分で、住宅ローン控除に関する項目に入力していただくと、ふるさと納税を行った場合に住宅ローン減税で控除できる金額が変わるかどうかが確認できます。ぜひ参考にしてみてください。

予想より収入が少なかった場合

ふるさと納税の控除額は、 1月1日〜12月31日までの年間所得に応じて決まります。
社会人の方なら、前年の収入や給与からある程度見積もれますが、 自営業やフリーランスの方は月によって変動することも多く、年間所得の予測が難しいことも。

また、途中で 退職や病気・ケガなどによって所得が減る ケースもあります。

所得が少なくなると、その分支払う税金も減るため、 寄附した金額のすべてが控除対象にならない場合があります。
年初に想定した収入で寄附したものの、想定より収入が減り、 自己負担が2,000円以上になってしまうこともあるので注意が必要です。

家族構成が変わった場合

ふるさと納税の 控除上限額は、所得だけでなく「扶養家族の有無」など家族構成によっても変わります。
たとえば、子どもが生まれた、ご両親と同居することになったなど、 扶養家族が増えると、税金が軽減される分、控除できるふるさと納税の上限額も下がる ことがあります。

寄附額を決める際には、 家族構成の変化も考慮しておくと安心 です。